石鹸ビジネスで、アフガニスタンに希望を。 元ジャーナリスト、サラ・シェイエス

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2008513

      

  H&Kから見た世界のステキな人々 Vol.15                                 

 

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こんにちは。H&Kグローバル・コネクションズのケイティです。

 

今年は、たくさんの「新しい事」をはじめた年で、家庭菜園もその

一つです。小規模のものですが、朝食時に「ちょっと、抜いてきて」

食べるぐらいの量はあるので、そのたびに、健康的で豊かな気持ちに

なります。

 

サラリーマン時代の私は、忙しくなるたびに外食で済ませていたので

考えられないくらい、大きな変化です。

 

いずれは、トマトやイチゴも挑戦してみたいなんて、思っています。                  

では、今日のメルマガ、スタート!

 

■■「石鹸ビジネスで、アフガニスタンに希望を。

               元ジャーナリスト、サラ・シェイエス」■■

 

今回は、石鹸ビジネスを通して、荒れた国アフガニスタンに、希望を

与え続けているサラ・シェイエス(Sarah Chayes)という女性を

紹介します。

 

元ジャーナリストで、ビジネス経験がゼロのアメリカ人女性、サラ。

そんな彼女が、アフガニスタンという荒廃した国で、石鹸ビジネスを

繰り広げ、地元の農民に経済的自立を促しています。

 

ビジネス規模はまだまだ小さいですが、アメリカの有名テレビ司会者、

オプラ・ウィンフリーから寄付金を得たり、石鹸ビジネスも順調に

進んでおり、世界のメディアも注目してます。サラのストーリーを

読んで、人の心を動かすパワーを感じました。今回はこのような

観点で、ステキポイントを紹介したいと思います。

 

アフガニスタンとは  

 

皆さんもよくご存知だとは思いますが、まずは、アフガニスタンと

いう国について、理解を共有したいと思います。私は、テレビで見る

だけで行ったことはありませんし、多民族国家だとか、荒廃した荒地

というイメージしか持っていませんでした。

 

首都はカブールで、人口は、3,000万人弱。公用語は、ペルシャ語(55%)

とパシュトー語(30%)と二種類。カルザイ政権のもと、

民主主義国家の構築が進められていますが、度重なる内戦、

ソ連軍の侵攻、多国籍軍の戦闘などで、国は大打撃を受けており、

社会再建にはかなりの時間がかかるといわれています。

 

経済は、主に農業と牧畜への依存度が高く、歳入の大半を国際援助に

依存しています。国民の3分の2は、12ドル以下で生活しており、

生活の糧を得るため、人々は、利益率の高いケシの栽培に駆り立てら

れ、結果、アフガンは、世界最悪のアヘン生産国となっています。

 

サラ・シェイエスのプロフィール

 

彼女は、ハーバード・ロースクールの教授職である父の娘として、

1962年アメリカのボストンで生まれました。

 

http://www.arghand.org/notes.htm

 

父と同じハーバードで学び、歴史学の修士号を取得。1996年から、

ナショナル・パブリック・ラジオ(NPR : National Public Radio)

レポーターとして、パレスチナやコソボ地域での取材をし、紛争地域

での取材で名を馳せました。200112月には、同時多発テロ後の

アフガンを取材しました。

 

しかし、アフガンでの仕事をきっかけに、2002年にジャーナリスト職

を辞め、現地で援助活動を開始しました。

 

まず、ACS(Afghans for Civil Society)という援助組織を、カルザイ

大統領の兄 Qayum氏と共に設立して、村やラジオなどのインフラ構築

に貢献しました。そして、経済面での復興に専念するために、

「アーガンド共同組合(Arghand)」を、2005年に立ち上げ、

現在も熱心な活動を展開しています。

 

アーガンドには、約11人前後の現地農民がメンバーとして参加し、

また、オフィサーとしては、サラ以外に、UNDPやカナダ、アフガン

政府関連の人達も含んでいます。そして、意思決定や売り上げなどの

資産の共有は、全メンバーで公平になされます。

 

2005年から3年たった今、アーガンドは、商品の売り上げと、民間

からの寄付により、地元の農民への経済的自立を可能にしています。

 

下記リンクでは、アーガンドでの様子が写真で見れます。

http://www.sarahchayes.net/pictures.html

 

ステキポイント1: 

      「成功の可能性や勝算にとらわれず、

               自分の心の声に従って決断する勇気」

 

彼女は、元ジャーナリストであって、ビジネスは素人です。父親は、

ハーバード・ロースクールの教授で、彼女をアフガニスタンに駆り立

てるような家庭環境は見当たりません。また、石鹸についても知識も

なかったし、個人的なお金も豊富にあったように思えません。

 

彼女が持っていたのは、アフガンでのジャーナリストとしての数年の

経験、多少のコネクション、現地語を話す能力、そして、オプラから

の寄付金25000ドルと、ボストンにいるたった一人の高校生の

協力者でした。彼女が、石鹸ビジネスをアフガンで開始すると言った

時、母親や友人は、サラの頭がおかしくなったと思ったそうです。

 

では、何が彼女の心を動かしたのでしょうか? なぜ、彼女は、

この仕事を選んだのでしょうか?

 

彼女は、アフガンの惨状を目の当たりにした時、この荒れた国や

終わらない戦争について、悲しみを報道し続けるよりも、

行動を起こす時が来たと感じたといいます。

 

貧しいままでいたり、アヘンで生計を立てている人々を、

どうにかして、合法的な形で、利益性の高いビジネスを通じて、

経済的に自立させたいと願ったのです。

 

でも、サラが持っていた経験やリソース、そして、荒れた国アフガン

の現状を考えると、成功する可能性なんて無に等しいと思いませんか?

 

通常、私たちは何か新しい事に挑戦する時、「成功する可能性」

について考えます。特に、ビジネスでは、「勝算」というものが常

に問われます。成功する確率と、成功した場合のビジネス規模を考慮

に入れて、勝算を割り出すというわけです。

 

でも、この勝算というのは、当てになりません。勝算を見込んでいた

ビジネスであっても、結果は、失敗しているケースが多いのです。

 

一方、サラのように、勝算さえ感じさせない事業が、軌道に乗ったり 

するのです。 

 

私は、「勝算があるより、勝算がないのに、前に進む決断」をする人に、

何か「人の心を動かすもの」を感じました。

 

なぜなら、勝算があってビジネスをするのは当たり前だからです。

一方、勝算がない人がビジネスを前に進める決断をする場合、結果で

なく、「挑戦する」事そのもの、または、そのプロセスが大事だと

いう意思表示だと思うからです。

 

そして、この「結果を恐れず、自分に与えられたミッションに

チャレンジする」事の結果が、たとえ成功をもたらさなかったと

しても、また違う何かを生み出したりして、結果的には貢献している

事があるように思います。

 

彼女は立派に事業を実現し、不可能を可能にしました。

 

ステキポイント2:

「前向きでクリエイティブな発想」

 

アフガンは、山の多い地勢で、国土の大半は乾燥しています。

そして、銃やアヘンで町は荒廃し、インフラも整っていません。

アフガンに一体、どんな資源があるというのでしょう。

 

しかし、サラは違った見方をしていました。彼女は、カンダハルと

いう場所では、ザクロの実(pomegranates)、アーモンド、アプリ

コット、サルヴィア・スピノサという花や果物が、驚くほど豊富に

とれることを知りました。その効能の凄さいという事に気づきました。

 

また、伝統的に、ザクロ栽培者の肌は非常に美しくて、最近の研究

により、その医療的効果が科学的に実証されました。もしザクロを

使えば、海外の高品質でナチュラルな商品を求めている消費者に販売

できる、と考えたのです。

 

あるいは、サルヴィア・スピノサという花。熟れたバナナをライムに

浸したような芳香を持っていて、過酷な砂漠からは想像できない程

です。しかし、現地の人にとっては、目を潤すための湿布材でしか

なく、かつて、この素晴らしい香りを活かした事がなかったのです。

 

サラは、「この豊富な果物や植物を何とか有効に活かしたい」

と思いました。しかし、電気などのインフラが脆弱なこの国では、

腐りやすい果物や植物のままでは、輸出には適さないと判断しまし

た。そこで思いついたのが、保存が利く石鹸や精油などの

「スキンケア商品」だったのです。しかも、高付加価値なので、

利益も高くなります。

 

商品の名前は、「石の石鹸(Soap Stone」です。全て、地元の材料を

使い、一つ一つ、手で、丸や楕円形に形作られ、大理石の模様が

美しいです。色は、真紅、トルコブルー、イエローなど鮮やかで、

とても石鹸には見えません。

 

(下記リンクをクリックし、左側にある「Product」をクリックすると、

商品の写真が見れます)http://www.arghand.org/)

 

商品のパッケージは、アメリカ人の協力を得てデザインされ、

ネーミングも、「Deseart Fields」、「Kandahar Rose」、

Mountain Herb」など、英語が母国語の人に、ポジティブな印象を

もたらす様、工夫しています。

 

価格は、一個およそ1.5ポンド(約300円)。現在、アメリカ、

カナダ、カリブの20以上の店へ、商品を卸しています。

 

アフガニスタンで、高級石鹸を製造するというアイデア。。。


とってもクリエイティブだと思いませんか? なぜなら、一般には、

持てるリソースよりも、直面している問題や、「ない」という状況に

目がいきがちだからです。 

 

しかし、彼女は、クリエイティブな発想により、貧しい国のリソース

に目をつけ、それを高付加価値商品へと変える事ができました。               

 

私たちにも、この発想から学ぶことがあるように思います。何の

取り柄もない、と思い込んでいる自分、あるいは、何もないという

現状認識を捨てて、発想を変えてみませんか?

 

自分や自分がおかれている環境を見渡すと、考え方を変えるだけで、

豊かなリソースが与えられている事に気付かされます。まず、世界

には、病気で苦しんでいる人が多くいるという事実を知れば、

健康な自分が成し遂げられる事は無限だということに気付きます。

 

全ては、「事実」ではなく、「前向きで、クリエイティブな発想」が、

成否を決めるのではないかと思います。

 

ステキポイント3:

       「いかなる障壁にも挫けず、行動しつづけること」

 

ビジネスを構築することが、いかに大変か、皆さんご存知

だと思います。単純な商品であっても、製品の品質を保ち、納期を

守り、利益をあげることは、至難の業です。

 

そのビジネスを、荒廃したアフガンで構築するとなると、その苦労は

何倍にもなると容易に想像できませんか?

 

実は、彼女は、このビジネス構築に関連して、数々の困難に遭遇して

いました。

 

1:タリバンなど、アメリカ人を心の底から忌み嫌っている人達の

  存在により、不安と恐怖の連続である。実際、銃弾が彼女の自宅前

  に置かれたり、地元警察の幹部だった親友が、爆弾により

  暗殺された。

 

2:バラやアーモンドなどの材料は、郊外の業者から多く購入して

  いるが、武装勢力などによる地域征服はたびたび起こり、材料確保が

  スムーズにいかない。

 

3:地元アメリカによる援助組織による援助は、実際受けられなかっ

  た。例えば、アメリカ政府下請けのアフガン支援実施コンサルティン

  グ会社(ケモニックス社)は、複雑で面倒な支援申請だけさせておき

  ながら、実際は、自社の拠点立ち上げや外国人従業員への高額な給与

  (2000万円!)に予算の大半を使い果たしており、サラへの支援を

  拒否した。

 

結局、サラは、公的援助には一切頼らず、むしろ、民間の団体や個人

からの協力を得て、本事業を達成することを決意しました。

 

新奇なアイデアを出すことは大切です。しかし、それ以上に大切だと

思う事が、「行動力」だと思うのです。彼女の、これらの障壁を越え

る行動は、とっても地味で、エネルギーを消耗する活動で、うんざり

するものだったでしょう。しかし、この「行動力」が、本事業を軌道

に乗せた成功の鍵なんだと思います。

 

もちろん、今でも、問題との格闘の日々が続いています。それでも、

彼女は、あきらめていません。

 

私も日々、ビジネスの壁にぶつかり、落ち込む事だらけです。

そのたびに、サラの「困難に負けない姿」を思い出し、

自分を励まそうと思います。

 

最後に、、、、、、、、、、、

「見えない価値」の素晴らしさ。

 

同組合の現在の売上は、月2500ドル(約30万円)と、とてもささやか

です。しかし、この利益で、地元農民の持続的な仕事を提供しつづけ

ていることは、驚嘆に値します。

 

事業の規模とは関係なく、私が本事業に大きな価値を感じる点、

それは、地元の人達に、 

 

「アフガンにいる私たちでも、人々に役立つ何かが提供できるんだ」 

とか、

「世の中の人は、そう悪い人ばかりではないかもしれない」

 

など、尊厳や希望を与えているのではないか、という事です。

  

これらは、決して数字では換算できません。

 

私たちの仕事も同じだと思います。同情や施しで仕事を得るのでなく

自分の能力や才能、強みを通して、社会に役立ちたい、、。

そんな気持ちを誰もが持っていると思うからです。

 

最後に、サラの声を聞きたい人は、下記インタビューをどうぞ。

(左の”Business cooperative in Kandahar ”をクリック)

http://www.theworld.org/?q=node/13396

 

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