IT業界のグル、アンディ・マルホランド氏、グローバル・ビジネスの秘訣を語る

●●‥‥……━━━━━━━━━━━━━━━━━━……             

200787

      

  H&Kから見た世界のステキな人々 Vol.7                                 

 

            Produced by H&K グローバル・コネクションズ                             

 

http://www.hkgc.jp/

‥‥━━━━━━━━━━━━━━━━━━……‥‥●●

 

おはようございます!

 

今回は、夏休み特集として、イギリスの友人達と共同で取材を行い

ました。以前メルマガで紹介したボーダフォン社に勤めるグレッグが

イギリス在住の「ステキなグローバル人」を紹介してくれました。

 

今回、取材をしてくれたニック君は、日本が大好きな高校生です。

大学進学も、日本について専攻できる所を探したいそうです。


今回のステキ人は、キャップジェムナイ社の国際CTO (チーフ・

テクノロジー・オフィサー)である、アンディ・マルホランドさん

です。IT業界の中でも、PCやインターネット関連においてリーダー的

な存在であり、グローバル経験が豊富です。

 

彼のプロフィールは、下記です:    

http://www.opengroup.org/contacts/bios/mulholland_bio.htm

 

今回は、高校生ニック君にあてた父からのラブレターのようですが、

その中身は深く、私にとっては、グローバルビジネスに必要な

エッセンスが満載の指南書となりました。

 

では、今日のメルマガ、スタート!

 

■■IT業界のグル、アンディ・マルホランド氏、

            グローバル・ビジネスの秘訣を語る」■■

 

 ニック君:

グローバルな現場で働くことは、学生の頃から希望していた事

でしたか?      

 

 アンディ:

そうじゃないんだ。僕が学校を卒業した1971年当時は、今と違ってて、

海外に行っても、まあ何とかやれるだろう、という感じで、

派遣されたんだ。そこで関与した仕事は、当然その担当者が

フォローしなくてはならなかったから、自然と仕事がグローバルに

広がったというわけさ。

 

 ニック君: 

グローバルビジネスに必要なスキルは、何ですか?

 

 アンディ:

各国の「違い」を理解し、受け入れる共感力

 

海外の現場で起きている事が、真実であり、個人が、その異文化に

対して、いかに共感できるかという能力(共感力)が、成功の

決定的要因だと思う。人々には、この能力があるか、ないかの

どちらかだ。この共感力がある人というのは、個人がどの国出身か

なんて、考えない。むしろ、「どうしたら、共に問題を解決できるか」

「どうしたら、共に物事を創造できるか」と考える。

 

つまり、何が正しいかという視点はもたないという事。

これにまつわる話を一つ挙げよう。僕は、7年前にCTO(チーフ・

テクノロジー・オフィサー)の仕事をある人から引き継いだ。彼は

フランス人で、技術力では僕より上だったと思う。会社の規模が

大きくなるにつれて、技術力よりも、31カ国、3700人のスタッフ力を

いかに最大化できるか、ということが重要になってきた。

 

引き継いだ当時は、スタッフ間の協力体制やオペレーションのレベル

が十分ではなかった。これが、目指したレベルに達するまでには、

3~6ヶ月かかった。僕は常に、会議で何かを決定する時は、

「この決定があなたにとって、どんな意味を持つのか?」、

「どんな行動をとるのか?」と質問したんだ。何が正しい、悪いと

いうのはなく、単に、各国で、どんな行動がとられるかを

理解したかったからだ。        

 

みんなそれぞれの反応を不思議がっていた。なぜなら、各国、反応が違って

いたからだ。アメリカ人にとって決定した事は「実行されるべき事」

として認識される。しかし、日本人は、「皆で決定された事を尊重しない

のは失礼だが、必ずしも各人が納得したわけではない」といった態度が

見られた。インド人も同様の反応だった。一方、フランス人の場合、

まず上司に確認を取る、といった風で、皆、違っていた。

 

この会議を通して、海外のスタッフ達は、なぜ今まで、会議から

良い結果が出せなかったのかを理解し始めた。

 

私の経験から、人々の行動や考えには、これ程までの「大きな違い」

があり、それは急激に変化しないということを学んだ。重要なのは

期待度を、より現実的なレベルに調整し、時間を掛けるということだ。

それにより、各人が学び、行動も変わっていく。また、人々を

国民性で決め付けたり、「他国の敵」としてではなく、「個人」としての

姿を把握する事も重要だ。

 

市場は世界各国で違う。例えば、韓国では、21歳以下の80%もの人々が

仮想空間を訪れていて、驚くばかりの普及率だ。

グーグルは、アメリカ等では圧倒的なシェアをもっているが、韓国、

中国では大した存在ではない。また、オーストラリアでは、

携帯電話の普及が48%と高いが、同じ大陸面積を持つアメリカでは

大して普及していない。なぜ、これほどまで差がでるのか?

 

答えは、各国に文化的な違いがあるからなんだ。

 

覚えておくといい。それは、世界の市場は自分が変えるのではない

ということを心底理解する事だ。各国の市場や文化の差というものが

グローバル・ビジネスの醍醐味であり、この「差」を知ることによって、

君自身が変えられていく。

 

 ニック君:

グローバルビジネスにおいて、あなたが実行している

ちょっとした秘訣を教えてください。

 

 ● アンディ:

現地の簡単な言葉を覚えたり、習慣に従う事。

 

僕が外国へ行くときは、必ず、現地のニュースを理解して行く。

もし外国の顧客と会議があるのに、現地の基本的なニュースや、

何が起きているのか理解していなければ、相手との会話について

いけない。

 

これは、とても大きなメリットをもたらす。なぜなら、もし、同じ

トピックについて意見交換ができれば、互いが、特別な地から来た

異邦人ではなく、同じ事について考え、語り合える一体感ができる

からだ。

 

また、小さな事であるが、日常会話で良く使う簡単な言葉、

例えば、「有難う」、「お願いします」等を、現地語で話すなどを

心がけている。このような簡単なコメントぐらいは、現地語で話せる

ようにしておくことが、その国への礼儀だと思う。流暢ではなくても

地元の言葉を話すことがこの国を受け入れ、興味を持っていることに

なるからだ。また、同様に、現地の生活習慣に従う、例えば、

現地の営業時間に合わせる、現地の食べ物を食べる、等である。

そうすることで、一体感をかもし出し、周りの状況も変わってくる。

 

また、「ジョーク」も良く使う。ジョークは、皆の波長を合わせる

のに最高の方法なんだ。会議でたいてい、一人や二人、5分ほど遅れて

くる人がいるので、その間、イギリスやスペイン、ドイツなど、各国

のジョークを飛ばしたり、学びあったりするんだ。

 

 ニック君:

グローバル人としての必要なメンタリティーは?

 

 アンディ:

グローバル・ベストプラクティスを目指しながら、

ローカルでいかに実行されるかを考えること。

 

私はよく自分の世界観を人に説明するが、それは、基本的には、

以下の3つで構成されている:

 

【第一】優しい言葉を使ったりして、わかりやすくすること。

 

理解されている事柄というものは、世界中どこででも、良く伝わり、

実行され、維持される。よって、問題となるのは、いかに「適切な

タイミング、コスト、品質で、実行できるか?」といった事になる。

こちらが買う、又は、売る、相手が社内、社外か、などの立場は

関係なく、このことは重要である。

 

【第二】世界のベストプラクティスは何かを考えること。

 

最近では、このベストプラクティスは、世界のどこの国からも考えら

れるだろう。たとえば、通信市場であれば、韓国が挙げられる。

韓国では、携帯電話、インターネット、バーチャル世界の使い方が、

変わっている。韓国は興味深いビジネスモデルを提供していて、

世界との差や、なぜそのように発展したかも理解している。

そのビジネスモデルは、他国でも採用される可能性があるのだ。

 

【第三】そのベストプラクティスを、現地で実行する方法を考える事

 

現地では、昔から行われているやり方というものがある。つまり、

その国の文化、言語、商慣行など交じり合ったものを尊重し、それを

考慮した実行方法を考えることが、成功するための最重要点となる。

     

特に、第二と第三のポイントが重要である。君の提案がどれほど

良いものであっても、他の国でどれだけ成果を出していたとしても

現地で受け入れらなければ、失敗する。だから、成功する為には、

これら3つの普遍の法則を理解し、スタッフにも理解してもらう事

が重要なんだ。            

 

 ニック君:

ビジネスでは、英語は主要な言語なのですか?

 

 アンディ:

英語は主要な言語であり、必須である。

 

英語は、ビジネスにおいて、かなり一般的に使われている。

私は、世界のどこにいっても、プレゼンテーション等、英語で問題

なく行っている。また、英語は、最も普及した「第二外国語」として

受け入れられている。例えば、フランス人やドイツ人が一緒のときは

彼らは英語で話す。もはや、第一言語とか第二言語とかという

ことではなく、常識の言語なんだ。

 

先週、面白い出来事があった。韓国のサムソン社で英語のプレゼン

テーションを行った時のこと。20%の人は同時通訳を使っていた。

そこで、一人のキーパ-ソンが質問してきた。言葉の節々に英語の

単語が含まれていたので、英語で話していると思った。でも、よく

聞いてみると、実は、韓国語だったんだ。


「インターネット」、「ブラウザー」等、技術業界の単語は英語が多く、

これで、いかに英語が現地語の中に浸透しているかという事がわかる

だろう。

 

しかし、個人的には、自分にあわせて、英語を使う努力してくれる

人には、細心の注意を払っていて、実際に話してくれる人には感謝の

気持ちで一杯なんだ。


英語で話し合いや会議を行う時、英語でしか話せない私は、

申し訳ないという思いと、感謝の思いを感じ、そのことを皆に伝える。

すると、みんな「大丈夫ですよ」言ってくれる。

でも、それが私には問題なんだ。それは、結果的にまるで私が現地

の言葉や社会に、文化的価値を置いていないようなものになってしまう

から。でも、それは本意ではないんだ。

 

 ニック君:

グローバルな会社がやらなければならない事とは?

 

 アンディ:

文化的に互いを受け入れるリラックスした職場環境を

整えること、又、スタッフに、グローバル・ビジネスのメリットを

理解してもらうこと。

 

ハイテク業界では、一人の人間が全てを知っているということは

なく、それぞれの人や会社が協力しないと成り立たない。

 

あなたの視点を人々に共有させることが求められると同時に、

人々には、それぞれ違った役割であっても、同じ仕事環境の中で

働いているのだと確信できるよう励まさねばならない。

 

私の会社は、テクノロジーの面で他社を抜き、高い評価を

受けている。それは、我々が、リラックスした職場文化を保って

おり、スタッフの相互理解が早いからだ。人々があなたの事を知り、

信頼し、あなたに何でも話すことができれば、問題があると、

早い段階で打ち明けてくれる。

 

働いている人々は、その人の能力が買われて働いているので、

プロとしての意識があり、よっぽど強調して言わないと、

問題を共有してくれない。これは、グローバルなビジネスで

あろうとなかろうと、今日のどんなビジネスにも大切なことだ。

 

一つ例を挙げよう。私の会社では、海外からのメールの多くは、

5-6単語という短いものが多いんだ。まるで、同じオフィス内の

向かい側から来たような親近感を感じる。

人々を知り、信用する事により、このような良い雰囲気ができる。

 

グローバルな組織がやるべき事は、自分が所属している組織が

グローバルであり、それは素晴らしい所であると信じさせること。

なぜなら、このような組織では問題に対する視点や解決方法は

多様であり、このような組織で働いていると、多くの視点が得られるから。

その意味で私は、多くの視点や知識の「大きなプール」を所有している

ようなものだよ。            

 

 ニック君:

最後に、日本と西洋のビジネスの違いを教えて下さい。

 

 アンディ:

意思決定の方法が大きく違う。

 

日本と西洋の組織の差というものは莫大だ。恐らく、君が今後遭遇

する壁の中で最も大きいものとなるだろう。

 

僕たちも、日本に支社を持っていたが、文化的ギャップがあまりにも

大きいので、日本の最大手通信会社に売却したんだ。

 

僕は、このギャップを尊重しないで成功した人を知らない。

シスコは日本で大成功したけど、それは文化的ギャップを尊重したから

だ。日本市場の場合、彼らのやり方を尊重し、互いに、経験と知識が

あるといった前提に立った平等な関係を構築できれば、

だいたいうまくいく。

 

ぜひ覚えておいたほうがいいのは、日本人に早期の意思決定を強要

しない事。意思決定というのは、西洋では当たり前のように

個人レベルで行われるので、苦にならない。しかし、日本では

そうではない。日本では意思決定というのは、個人が行うものでは

なく、人々の総意をもとに行われる。

 

また、彼らに自分のペースを強要してはいけない。彼らには彼らの

ペースがあるから。初めて会った人に、いきなり、ビジネスの話に

入るのは失礼であり、まずは天気や時事について時間を費やすのが

通例だ。彼らは、あなたがどれくらい現地のルールや情報に通じて

いるかを理解する事により、どれくらい信用できるかを図っている。      

高校生のニック君に語ったグローバル人としての成功の秘訣、

いかがでしたか? アンディの豊富なグローバル経験から得た教訓

は、私達日本人にとって学ぶ点が多く、示唆に富んでいたと思い

ます。 

 

◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆ 

【発行人】HK グローバル・コネクションズ 

【感想・意見などをメールする】 info@hkgc.jp

【会社ウェブサイト】  http://www.hkgc.jp

このメルマガの転送は自由です。お知り合いの方に是非お勧め下さい。

ただし、本文の無断転載は禁じます。

C)Copyright HK グローバル・コネクションズ 

◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆