独自のマジックワールドを創造した、 ミルト・ラーセン氏

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2007612

      

  H&Kから見た世界のステキな人々 Vol.5                                 

 

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おはようございます!

 

先週、カンヌで国際グランプリを受賞した河瀬直美監督のトーク

ショーに行ってきました。同時に、10年前にカンヌで新人賞を受賞

した「萌の朱雀」も見ました。これは、奈良の過疎地の生活を

描写した地味~な映画で、メッセージを理解するのに苦労しました。

 

実は、出演した俳優さん達も、最初は何が言いたいのか理解できな

かったらしいです(笑)。

 

でも、監督本人にとっては、涙なくしては読めない脚本で、話を聞い

ているうちに、彼女のメッセージを感じることができました。また

彼女が描写した世界観は、奈良の過疎地を描いてはいるものの、

世界共通のものだからこそ、受賞したのだと思いました。

 

大衆にすぐには理解されない、でも重要な「何か」を、自分の

アンテナを通して世に発信する姿。インスピレーションを受けた

日でしたよ。

 

では、今日のメルマガのスタートです!

   

■■「独自のマジックワールドを創造した、 ミルト・ラーセン氏」■■

 

皆さん、ハリウッドにある「マジック・キャッスル」って、聞いた

ことありますか?         

 

マジック・キャッスルは、ハリウッドにあるビクトリア調のお城で、

世界的に有名なマジシャンの為の会員制クラブです。そこでは、

上品な雰囲気の中で、毎晩、最高の食事と、世界中からやってきた

一流マジシャンの演技を楽しむことができます。

 

「アカデミー・オブ・マジカルアーツ」という協会の母体でもあり、

マジシャンやその愛好家をメンバーとして受け入れ、マジックという

アートの領域を極め、普及させる活動を行っています。

 

メンバー数は、2006年で5,000名にも達し、著名なマジシャンとして、

ダイ・バーノン、リッキー・ジェイ、ランス・バートン等。

マジックを愛するセレブとしては、スティーブン・スピルバーグ、

スティーブ・マーティン(映画花嫁のパパで主演)、

 

ジェイソン・アレクサンダー(Seinfeldという有名TV番組に出演

しているコメディアン俳優)がいます。

 

世界からマジックのプロフェッショナルや愛好家が集まり、

「マジックの殿堂」とさえいわれるいるマジック・キャッスル。

 

今回は、その創立者であるミルト・ラーセン氏のステキポイントに

迫ってみようと思います。

 

私にとって、マジシャンというと、Mr.マリック、プリンセス・  

テンコー、マギー司郎、極めつけはゼンジー北京(古い!)ぐらい

しか、知らなくて、あまり身近な話題ではありませんでした。

 

でも、去年、東京で行われたダンス&マジックフェスティバル

で、初めてマジック・キャッスル演出のマジックショーを見たとき

は、身震いがしました。ダニー・コール、緒方集人、などなど、

マジック・キャッスル出身の有名な一流マジシャンが、舞台で、

コイン、カードなどで私達をあっという間に魅了してしまいました。

 

興奮さめやらぬ私たちは、大胆にも、マジック・キャッスル

に訪問して、ラーセンさんにお話を聞きたい!と思ったのです。

断られるのは百も承知で、ラーセンさんに、メールと電話で、

ラブコールを送りました。

 

やっとつながった電話で、「魅力的なマジック・キャッスルを

プロデュースしたあなたのビジネス哲学をお伺いしたい」と、

単刀直入に伝えました。彼は、寛大な心で、受け入れてくれ、

なんと、20067月に、彼を訪問することができたのです!

 

マジック・キャッスルのクルー達は日本から来た私達を丁重に

応対してくれました。また、ラーセンさんは、忙しい合間を縫い

ながら、エグゼクティブ・アシスタントのデール氏を連れて、

食事を共にしてくれました。

 

ラーセンさんの魅力について、いろいろと質問させてもらいました。

そして、館内を見学して、ショーも楽しみました。しっかりと、

ラーセンさんのステキポイントを見つけてきましたよ。

 

 ●ステキポイント:

「ラーセン」スタイルを持ち、徹底している事

 

マジック・キャッスルは、独特のサービススタイルで提供されていま

す。例えば、ネクタイとカクテルドレスというドレスコードがあり

ます。また、メンバー制で、メンバー、又は、そのゲストでないと

入館できません。有名人でも入館を断られたというエピソードが

あります。         

 

また、どちらかというと、こじんまりとした小さな空間で、お客様と

身近な距離で、小話やユーモアで和ませたり、ショーに参加してもら

うといった「Intimate magic(親しみのあるマジック)」という

スタイルです。         

 

また、館内も独特で、マジシャンのミュージアム、コメディクラブ、

そして、ディズニーの「ホーンテッドハウス」のような不気味な

テイストも織り交ぜています。         

 

例えば、エントランスに入っても、壁一面が本棚が立ちはだかって

いて、「オープン・セサミ!」と唱えないと中に入れなかったり。

また、「イルマ」というピアノを弾く幽霊がいて、見えない彼に向

かって、曲をリクエストすると、誰もいないピアノが演奏しはじ

めたり。壁一面に、歴代のマジシャンの似顔絵が飾っていたり。

 

独特の世界ですよね。でも、不思議に思ったことがあります。

 

ここまで成功しているならば、なぜ、ラスベガスのような大舞台の

ショースタイルにして、より多くの大衆に受けるようにしないのか。

 

また、なぜ、ハリウッドにしか、マジック・キャッスルは存在

しないのか。            

 

彼の著書「Hollywood Illusion: Majic Castle」を読んで、

答えが明白になったように思います。

 

それは、彼のビジネスコンセプトが、父ウィリアム・

ラーセン・シニアの夢がベースになっていたからではないかと思い

ます。父も、マジシャンであり、「マジシャンの為のエレガントな

クラブハウスを作りたい」という夢を叶えられないまま、48歳という

若さで他界してしまいました。         

 

当時、ラーセンさんは、NBCテレビのクイズ番組「Truce or

Consequences」の脚本家として成功しており、兄もCBSテレビの

プロデューサーとして成功していました。二人の息子は、

これらエンターテイナーとしての経験を活かし、父の夢を実現

すべく、事業コンセプトを描いたのです。弟ミルト・ラーセンは、

マジック・キャッスルを創立させ、兄ビル・ラーセン・ジュニアは、

「アカデミー・オブ・マジカル・アーツ」の社長に就任し、協会を

発展させました。         

 

つまり、彼のビジネスは、「Family Value=家族で共有する価値感」

を基礎にしているのです。どんな魅力的なオファーがきても、

単なる経済的な理由だけで、事業を変更したり拡大することはあり

ませんでした。         

 

例えば、ユニバーサル・スタジオをはじめ、多くの会社から、

ハリウッド以外の場所で、マジック・キャッスルを実現しようと

多くのオファーを受けました。しかし、ニューヨーク、

サンフランシスコ、フロリダ、どの場所においても、土地・建物

との相性、サービススタイルの違いなど、様々な理由で実現を見送っ

ています。         

 

ここに、彼の「容易に事業を拡大しない」という哲学が伺えます。

マクドナルド等、フランチャイズが多いアメリカでは、とても珍しい

事だと思いました。         

 

また、ラスベガスのシーザース・パレスにて、彼がコンサルタント

として手がけた「シーザース・マジカル・エンパイア」の場合。

 

ラスベガスだと、普通の人なら、有名なジークフリート&ロイなどの

イリュージョンショーを思い浮かべますよね? 彼は、同じ路線では

なく、独特のアイデアで、「ローマ帝国の地下での宴」という神秘的

なコンセプト案を考えました。そして、同様のIntimate Magic

スタイルで、本事業をスタートさせました。

 

彼の言葉を引用してみましょう:

 

" Magic Castle was a very personal family project. 

It was our child.       

    

We never wanted to franchise and have ittle imitation Castles

stamped out with cookie cutters.

If there were ever to be another Castle, it would have to

be based on the same integrity and love of magic that has been 

the key to the success of the Hollywood Castle.  

 

Imitators have come and gone and the reason for their failure

has always been the same. The investors always put the love of 

the dollar above the love of the art of magic and magicians."

 

(日本語訳)

「マジック・キャッスルは、私にとって、非常にパーソナルな

ファミリープロジェクトでした。 つまり、我が子のような存在なの

です。      

         

私達は、今まで一度も、事業をフランチャイズ化して、

クッキーの抜き型で作ったような「コピー」を作りたいと望んだ事は

ありませんでした。もし、もう一つのマジック・キャッスルを作ると

したら、それは、全く同じ基準や考え方で、又、マジックへの愛に

基づいていなければなりません。それらが、ハリウッドでの成功の鍵

だったのです。         

 

多くの模倣者が来ては、去っていきました。そして彼らの失敗の理由

は、常に同じでした。 投資家は、常にマジックや

マジシャンという芸術よりも、ドル(お金)を優先したからです」。

 

家族で共有する価値観や伝統は、どんなに経済的に魅力的

なオファーも変えることはできないのですね。

 

その結果、マジック・キャッスルは創立年の1963年から40年以上たち

ましたが、繁栄を続け、マジックキャッスルの業界での地位は確固な

ものとなりました。         

 

そしてとうとう、20069月に、「ウォーク・オブ・フェイム

Walk of Fame)」により、星が贈られ、ラーセンさんの名前が、

ロスアンゼルスのチャイニーズシアター前の道路に刻まれました。

 

この星は、ショービジネス(映画、テレビ、音楽、ラジオ、演劇と

いう5部門がある)において、重要な貢献をした人に贈られる

大変名誉なものです。            

 

安易に売上げを上げる事よりも、自分のオリジナルの世界を長期に

わたり維持し、お客様を大事にするためにメンバーシップ制を崩さ

なかったラーセンさん。彼は、世界中でファンを作り、多くの友人を

作り、そして、人々の心に残る素晴らしいワンダーランドを築き上げ

ました。         

 

本当のブランド人、ラーセンさんに乾杯!です。

 

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